2022.3.20
伝統行事と女性の未来
早いもので、今年ももう3月。それも終わりの時期です。
3月は、雛飾り、国際女性デーなど、女性関連の行事が注目されますね。
雛飾りについては、ある有名女性が、「お内裏様もお雛様も同じ高さの壇に座っているから、男女平等だ」といったそうです。
これを聞いた時の、なんともいえない不快感は、我ながら不思議なくらいです。古来の伝統行事に、ジェンダー論を入れ込んできたことに何かもやもやしたものがありました。「伝統は伝統として大切に」「そこに勝手な解釈を入れない」そこを踏み越えられたような感じ・・・とでもいいましょうか。こう思う私が変なのでしょうか。
折も折、テレビの番組で「博士ちゃん」というのがあって、賢い子どもさんが、[古事記]の由来からひな祭りを説明していました。彼によると、お内裏様はスサノオノミコト、お雛様は姉の、アマテラスオオミカミということだそうで、びっくりしました。なんとなく「夫婦」「結婚式」などを想像していましたので。
その後、なぜお内裏様が向って左なのか、ネットで調べてみましたら、関東では「向って左」、京都では「向って右」なんですね。お顔立ちも少し違うようです。ここにもいろんな解釈があるようですが割愛します。所が違えば、「場」も「顔」も変わるということですね。
関東では、結婚式の花婿・花嫁の座り方は、男性が向って「左」。関東式のお内裏様の位置です。これは「オレの右に出るものはいない」ということだと聞きましたが、本当でしょうか。京都では、どのような理由で、「向って右」なのでしょう。
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国際女性デーは、さまざまなジェンダー関係の数字が語られました。
毎日新聞の上東麻子さんによれば、世界経済フオーラムの「ジェンダーギャップ指数」は、2021年で156カ国中120位。これは大変話題になった数字ですね。他には、「国会議員の女性比率」140位、「管理職に占める比率」139位。公的な場における女性の比率の圧倒的な低さに驚きます。他に「教育」92位、「健康」65位。
もう20年近く前になりますが、日経連の理事の方とお話する機会があって、その時その方が、こういわれたことを思い出します。
「国際会議などに出る、各国とも女性の代表者が座る。だが、日本はゼロなんだねえ。何かはずかしい思いでしたよ」
当時より状況はよくなっているのでしょうが、それでもこの数字です。
その反面、日本の男性の無償労働時間は、1日「41分」。データのある30か国中最長ということです。これまた稼ぐ男という、根強い性別役割分業意識のせいでしょうか。
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もう一つ、気になることがあります。昨年の令和3(2021)年6月23日、最高裁判所は「民法第七五〇条は合憲である」という判決を出したことです。
民法七五〇条「(夫婦の氏)夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」
この裁判は、三組の夫婦が訴えた訴訟に対する判決文です。
「同じ名字(姓)でなければ結婚を認めないという法律の規定は、憲法違反だ」と。
15人の裁判官のうち「合憲」としたのが11人、「違憲」としたのは4人に過ぎなかったのです。これほど私を驚かせ、嘆かせたものはありませんでした。選択的夫婦別姓の制度は世界の潮流であり、私が調べた範囲でも40数カ国にのぼります。
私の姓は、妻の姓で、わずか4パーセントに過ぎなせん。その4パーセント組がいかに世の偏見を受け、涙とストレスで生きてきたか・・・。
朝日新聞の調査によれば、別姓の選択制について、全体の67%が賛成しています。18~20歳では、じつに80%が賛成で、60~69歳でも69%が賛成しています。
昨今、未婚率があがっていますが、内閣府調査では、「結婚したくない理由(20~30代」では、女性の26%が「名字・姓が変わるのが嫌・面倒」と答えています。女性にとっては「名字」「姓」が、結婚のネックになっています。
国際女性デーでは、この問題が話題にならなかったのではないでしょうか。昨今では、多くの職場が通称使用を認めるようになっており、日常的に不便を感じないということでしょうか。でもパスポートなどでは、おおきな不便があると聞きますが。
3月は、ほんとうにいろいろなことを考えさせられる月ですね。
卒業などで新しく社会にとび発つ、皆様、どうぞこういう社会を変えていってくださいますように。