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訪問入浴看護師さんの喀痰吸引

過日、ある市に住む、要介護5の男性を取材させていただきました。70代後半です。妻も大きな手術をして、娘さん夫婦が子ども連れで引っ越してきて、介護にあたっています。やはり在宅介護には、「健康で、健気で、賢い」「娘か嫁」がいなければやり通せないのか、考えさせられてしまうものでした。
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問題は、訪問入浴介護の同行看護師さんが「喀痰吸引」をしてくれないということでした。なんと、看護師さんに押さえてもらっていて、家族(娘さん)がやっているそうです。もしこの娘さんがいなければ、吸引はどうなるのでしょうか。緊急にケアマネに連絡して訪問看護師に来てもらうということでしょうが、早くても10分はかかるでしょう。その間の苦しみは、いかばかりのものでしょうか。入浴後は痰が出やすくなるとも聞いています。
 これは、制度上で禁止されているのか、あるいはその市のみなのか、その業者さんの判断なのか、いかがなものでしょうか。ある大手の訪問入浴業者の責任者の方に、メールで問い合わせをしました。以下はその回答です。
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結論から申し上げると、訪問入浴介護は在宅で介護を必要とされている方の 日常生活の自立を支援する介護サービスであり、医療処置を行うことは 業務に含まれておりません。看護師が帯同しているからといっても、訪問看護としてではなく、訪問入浴介護になってしまいますので、診療の補助行為は出来ません。ですので、地域というよりは、その事業所の判断等の理由により、痰の吸引等は実施しないこともあります。また、実施となるケースであっても、 訪問入浴介護事業者側にはリスクも高く安易に受け入れることが不可能な状況といえます。

他の方にも聞いてみたところ「業」が違うということで、制度的に許されていないということでした。
 しかし今、介護職に「喀痰吸引(部位は限定されるにしろ)」が認められた時代に、看護師が出来ないというのは、どう考えたらいいのでしょうか。再度、メールをしました。
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「医療処置は業務の中に含まれていない」とうこと、いささか驚いておりますが、国の定めなのですね。 あと、2点お教えいただけますでしょうか。
  ① 医療処置の中に、褥瘡の手当ては含まれているでしょうか。
 ② 今年の法改正によって、介護職も50時間研修で、部位限定であるにしろ喀痰吸引が出来るようになりました。としますと、今後、看護師さんは吸引できないけど、同行の介護職などに資格があれば吸引するという事態もあり得るのではと思うのですが・・・。    御社としていかがお考えか、お教えいただければと存じます。
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 回答は以下のようなものでした。
 ① 含まれます。
 ② 「指定を受けた介護職が口腔内吸引が可能」ということはありえます。
   しかし、事業所の見解で前述の介護職に吸引させる許可はしないと思います。
   いずれにしましても、指定事業所の見解にかかっていますし、その地域の保険者である市町村行政が、その地域の介護サービスがどのようにあるべきかを本気で考えているか否か、にかかっていると思います。
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 褥瘡の手当ては出来るが、喀痰吸引は出来ない、一般人には理解出来ない話です。
訪問入浴は、日本の入浴文化に根付くすばらしいサービスです。諸外国ではほとんど見聞きしません。そかし、その現場では、「入浴後身体が温まって痰が上がってきた」「その時喀痰吸引ができる家族がいるかどうか」「許可を受けた介護職がいるかどうか」で利用者の苦しみが違ってきます。その場にいる看護師さんはどう思っているのでしょうか。もしかしたら深くプライドが傷ついているのではないでしょうか。
 今後ほんとうに在宅介護を推進するならば、拙速に介護職の医療行為を認めるだけでなく、こういう訪問入浴の現場もまた改善されるべきではないでしょうか。
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 この問題についての皆様のご意見などをお待ちしております。

インターネット広告の「トランスメディア」提供スキンアイコン by n-okifuji | 2011-08-17 11:59

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